門や塀などは、家相上でも大切にしてほしいポイントです。プランニングに工夫をしても、門や塀がおろそかになっていると、努力が台なしになってしまいます。 また、門やフエンスなどの塀、玄関までのアプローチに趣向を凝らしている家は、なんといっても風情があります。建物だけを豪華にしても、門やアプロー チが貧弱では様になりません。反対に、建物に予算をかけなくても、アプローチにお金をかけると、家が立派に見えるもので、昔から、アプローチを充実させると、家の格が上がるといわれています。家相上では、特に門扉の方位が大切なポイントです。北東の表鬼門、南西の裏鬼門を避けることは当然として、家族の十二支方位に門扉があっても凶相になります。門扉と玄関を一直線上に配置することも避けてほしいです。家相上からの理由もありますが、この配置だと、 門の外から家の中まで、一直線にのぞけてしまいます。荷物の出し入れなどを考えると、住んでみて、嫌がる人も多いです。
建物のまわりや敷地を、フエンスなどで囲むことも、家相上、大切です。いくら吉相の家を建てても、 家の周囲を囲っていなければ、凶相とされています。建物の周囲を囲むことは、いわゆる「結界」を結ぶことと同じ。地鎮祭を思い出して下さい。四方に竹を立てて注連縄で囲み、「結界」を切ってご神事を行う。お寺や仏閣にも必ず門があるし、鳥居のない神社もない。住宅でも、自分たちのスペースをフエンスで仕切り、不要な災いを取り込まないことが得策なのです。
北海道で牧場を経営するAさんから、出張鑑定の依頼を受け、現場まで出かけたことがありますが、とにかく北海道だけあってスケールが大きい。敷地の広さも相当ですが、牛や馬の宿舎やサイロ、大型の倉庫から従業員の宿舎まで、建物もたくさんあります。また、生き物を扱う仕事なので、糞尿の処理や亡骸の埋葬まで、ありとあらゆることを考えなければなりません。詳しい事情はともかく、Aさんの依頼は、牧場内に自宅を新築したいということで、家相上、敷地のどの方位に自宅を建てることが無難なのかを知りたいということでした。私のアドバイスは、まず自宅をフエンスで仕切り、自宅専用の門扉も吉相の方位に設けるということ。自宅をフエンスで仕切ることによって、牧場内にある、ほかの建物の影響を受けないようにすることでした。この方法なら、敷地のどの方位に自宅を建てても、無難と考えられるからです。そのほかにも細かなポイントはありますが、一番のポイントは、自宅をフエンスで仕切ることです。門や塀を上手につくることは、建物の格を上げることになります。植栽なども有効に活用して、ドレスアップして下さい。
家相建築設計事務 佐藤秀海