以前の家相によると、車庫の吉凶を「牛小屋」や「馬小屋」とみなし、昔ながらの方法で判断していましたが、これには賛成できません。「家相は進化するもの」として考える家相建築では、現代の生活に合わせて、吉凶を判断しています。家相上、牛や馬と自動車を同じように扱うことは、どう考えても無理があります。現代の生活では、ほとんどの家庭で駐車スペースが必要です。車庫や駐車スペースのために、大切な住宅のスペースを狭くするケースもあります。家相建築でも、プランニングの段階で、駐車スペースには十分注意を払っています。家相上では、車庫とカーポートは完全に区別して考えています。危険なのは車庫で、カーポート程度であれば、あまり方位の影響は受けません。ほとんどの ケースで無難と考えていいです。
その理由は、車庫は建物として扱い、カーポートは建物と判断しないからです。車庫は建物として判断するので、母屋から見れば別棟となります。別棟には、家相上の決まり事があります。たとえば、母屋から見て、北東の表鬼門や南西の裏鬼門には建ててはいけない。家相上、凶相になります。東方位や北西方位、東南方位には建てても無難ですが、大きな車庫では、母屋の採光が悪くなるので、おすすめできません。無難といわれている方位に車庫を建てる場合でも、母屋から離して建てることが必要です。
最も危険な車庫のタイプは、車庫を家の内部に取り込んだ「ビルトイン」のタイプ。これは、家相上、最悪です。私は、自分で設計するときには、このビルトインの車庫タイプの設計はしないと決めています。施主から依頼を受けても、絶対に引き受けませんが、他の建築士や工務店がつくったビルトインの間取りを相談された場合には、次のようにアトパイスしています。車庫にはシャッターをつけて、車の出入り以外は必ず締め切っておくこと。車庫から直接、住宅の内部には入らないこと。車庫の上部は、寝室や子供部屋とせず、客間や納戸とすること。この3点は必ず アドバイスをしています。ビルトインの車庫は、悲惨な事故につながることもあります。毎年のように、新聞記事やテレビのニュースで見かけますが、ビルトインの車庫内で車のエンジンをかけっぱなしにして、2階で寝ていた家族や運転者が一酸化炭素中毒で亡くなってしまうケースです。自分の設計した家では、こんな悲惨なことになってほしくはありません。
カーポートは、家相上、建物と判断しないので、車庫と違って扱いが簡単です。車庫では凶相になる北東の表鬼門方位や南西の裏鬼門方位でも、カーポート程度なら可能と考えていいでしょう。敷地に余裕があれば、車庫を無難に建てることも可能ですが、条件が厳しいときには、カーポートを検討して下さい。カーポートなら、母屋の家相を凶相にすることもないからです。
家相建築設計事務 佐藤秀海