私にはステンドグラス制作を生業としていますが、できれば貨幣を使わない生活をおくってみたいと、常々思っていました。しかし、社会保険や固定資産税は現金で納めなければなりません。光熱費も。そこで、せめて食費の一部でも自給自足しようと、家庭菜園を始めました。
私の住む茨城南部は、野菜処ですが、後継ぎがいないせいか、耕作放棄地がそこここに見られます。ですので、畑地をタダで借りることは、そう難しいことではありませんでした。
まあ、経済的な理由もそうですが、もともと園芸や飼育は好きで、小学生のころからいろいろやっていました。中学生の時は、祖父から珍しい品種のサツキをもらってきて、盆栽に仕立てていましたから。ですから、野菜作りは、まったく難しいとは思いませんでした。今では約50坪の畑に、年間50種類以上の野菜を作っています。
現金で野菜を買うことは、ほぼなくなりました。あとは、余った野菜を肉や魚に交換してくれる都合の良い友人を探すだけです。
野菜を買わない生活、というものを想像してみたことがありますでしょうか。家庭菜園は、露地栽培つまりハウスを使わないのが基本ですので、どの種類の野菜も1年中で数ケ月間しか食べられないのです。つまり、ナスやキュウリは6月から10月までしか採れませんし、白菜やブロッコリーや多くの菜っ葉類は冬がシーズンです。人参は初夏に作っています。ジャガイモは6月から9月までしか食卓に上りません。ですので、うちのカレーライスは、人参、ジャガイモ、玉葱が入っていない時期の方が長いのです。
1年の半分以上は、菜っ葉と大根、ネギと保存食のサツマイモでしのぎます。これが、自然と共生するということですし、実は身体に一番良いのです。夏野菜は身体を冷やしますし、冬野菜特に根菜類は身体を温めます。ですから、自然に収穫できるものを、その時その時に食べるべきなのです。自然のサイクルに合わせて生きる、と言うことは、この自給自足の食生活を送ると、一番簡単に実現します。
(つづく)
LEAVE A REPLY