
プランニングをするときには、いろいろな迷いも あると思います。「どんな家にしたいか」、気持ちがまとまっていないこともありますし、予算の制約もあります。また、家族それぞれの「家」に対する思いも、なかなかーつにはまとまらないものです。そんなときは、通風と採光を第一に考えてほしいと思います。プランに迷ったときは、「通風」と「採光」に注目してほしいです。 家相建築を活用するのは、住み心地のよい住まいをつくるためだが、それとは違った考え方でプラン ニングしている家相家もいます。今まで多くのお宅を拝見してきましたが、なかには、驚くような間取りもありました。地方では有名な家相の先生に鑑定を受けた家でしたが、とにかく、窓が少なく、日当たりもないし、風通しも悪い。「気学」という最もポピュラー な運命学をもとに、指導を受けて建築された家らしいですが、昼間でも家の中が薄暗い。これでは、住んでいる人たちも暗くなってしまうでしょう。このように、あるべきところに窓や出入り口がない家は、意外に多いです。
確かに、家相上には、細かな決まりもあります。たとえば、「正中線」「四隅線」「鬼門線」の扱い方など、窓のとり方や場所にも決まり事があります。昔の家相を厳密に守ろうとすると、正中線や四隅線上にどんな開口部もとることができず、結果として、窓が極端に少ない家になってしまいます。私の場合、基本的には、窓の位置などは細かな制約を設けずに決めています。家相上で気になるときには、掃き出し窓とせず、腰窓や出窓に変更して対応します。窓については、掃き出し窓の扱いに注意する程度で、問題はないと判断しています。また、トップライト(天窓)も、プランニングに活用することが多いです。これも、昔の家相の世界では、積極的に活用する人は少なかったといえます。屋根から光を取り入れるという発想は、以前の家相にはなく、新しいものだからです。建築基準法では、居室に対して一定量の窓の面積を定めた「採光」に関する基準がありますが、壁に設けてある通常の窓よりも、屋根からのトップライトの方が三倍有効としています。これだけ有効なものを活用しないことはありません。私の自宅も、ダイニングにトップライトをとり、晴れた日には、朝日を浴びながら朝食がとれます。
朝の光を浴びることは、家相上でも大切なことで、人問の意識と身体を同時に目覚めさせる効果があります。朝日を浴びることで、心も身体もすっきりと目覚めることができます。問取りに迷ったら、通風と採光を第一に考えてほ しい。そして、細かなことにこだわらず、トップラ イトなど、活用できるものは積極的に活用して、採光と通風に恵まれた家をつくってほしいです。特に、朝日を家に取り込むことは大切です。東から の明かりを家の中に取り入れて、意識と体を目覚めさせ、一日のスタートを快適に始めてほしいものです。
家相建築設計事務 佐藤秀海