階段は、建物の構造上でも「主要構造部」として、大きな役割を担っています。たとえば、リフォームでも、階段の位置を変えることは、工事費がかかるだけでなく、構造的にも大変な工事として本当に手問がかかります。私の受ける相談の中でも、階段に関する相談は、特に手間がかかります。家相上では、家の中央部分に階段を持ってくる「中央階段」は、大きな問題を起こします。たとえていうなら、けがをするにしても、かすり傷程度ではすまなくなり、入院治療が必要になるほどの大けがになります。プランニングの際でも、階段の位置を動かすのは大変だ。階段は1階と2階をつなぐ「玄関」の役割があるので、階段の位置が違えば、プランの考え方がまったく違い、必要な部屋数がとれなくなることや、部屋のスペースが狭くなってしまうこともあります。 プランニングの効率を考えたら、なるべく階段の位置を動かさないことが無難です。私が受けた中央階段をリフォームする実例でも、ほとんどのケースで2階の部屋数が減っています。それでも、中央階段のマイナスは大きいので、相談者は泣く泣くリフォームしているのが現状です。
それでは、階段はどの方位に持ってくればいいのか。中央階段は避け、建物の外周に沿った位置に設置するといいです。そうすれば階段には窓がとれます。こ れも、家相上ではプラスの意味があります。1階と2階をつなぐ階段に採光があることは、家の中の「気」を向上させる効果があります。中央階段は、家相上でも凶相のうえ、窓がとりにくいです。採光がとれない階段は、一日中暗くて足元も危険。これだけでも中央階段の危険性がわかるでしょう。昔の家相法では、階段の位置にも細かな制約があえいました。「北方位に階段を設置すると、家族が風邪をひきゃすくなる」とか、「北西の階段は主人が不治の病気になる」など、いくつか凶相のパターンがありました。 確かに、階段は大切ですが、いくつもの細かい制約をすべて守ることは難しく、現代家相では、階段の配置もポイントを絞って考えます。
階段について一番大切なポイントは、中央階段にしないで、建物の外周に接した位置に設置すること。また、階段には、窓をつけることも大切。家の上下をつなぐ場所なので、採光が必要なのです。階段の下を収納で使っても問題はありません。無難な方位なら、そのスペースにトイレを持ってきてもいいです。階段下のトイレを凶相とする家相法もあるようだが、無難な方位であれば問題ありません。中央階段さえ避ければ、鬼門方位に階段を持ってきてもかまいません。階段を鬼門に持ってくることで、トイレなどの不浄物を配置せずにすむこともあり、結果的に無難な家相になるからです。
家相建築設計事務 佐藤秀海