私のすすめる家相建築を理解して頂くためにも、従来の家相の基本的な部分を確認したいと思います。まず、家相を判断するためには、建物の中心を正 しく出すことが必要です。建物の中心は、基礎の外周部分で判断します。家相上、建物の一部として含めないものは、玄関ポーチ、テラス、バルコニー、出窓、ウッドデッキなどがあげられます。玄関ポーチには玄関の屋根と柱があり、建物の一部として考える人も多いですが、建物の一部とは判断しません。これは、従来の家相でも現代家相でも同じように考えていいです。ただし、物置やサンルームなどは、建物に付帯して建っているなら、建物の一部として判断します。車庫も同様で、建物に付帯して建ててあれば、建物の一部と判断し、家の中心を出すときには、面積に含 めて考えます。長方形や正方形の四角い建物なら、単純に対角線の交点が建物の中心になります。張りや欠けなどの凹凸があれば、大小にかかわらず、すべて含めて考えてほしいです。
建物の形が、単純な四角形でないときには、一階の平面図を少々大きめに拡大コピーして、厚めの紙にのりづけし、建物の外周に沿ってはさみで切り取ります。切り抜いた平面図をコンパスなどの針の先端に置き、バランスのとれる「重心」が、建物の「中心」と判断していいです。そのときには、一人がコンバスを持ち、もう一人が切り抜いた平面図を持って協力すれば、比較的簡単にできます。建物に凹凸がある場合は、私もこの方法を活用しています。家相を判断するときは、ほとんどの場合建物の中心から見た方位で判断します。敷地の中心ではなく、建物の中心からが多いです。
住宅の場合で、敷地の中心から家相を判断するケースは、敷地内神社の方位を判断するときです。敷地内神社とは、自分の敷地内に祭ってあるお稲荷様や氏神様のことを指します。住宅以外の大きな建物 (会社、工場、学校、病院、老人福祉施設など) の場合は、住宅とは用途が違うので、家相の見方も違います。建物の中心から見た方位だけで判断せず、敷地の中心から見た方位でも判断します。特に、主たる建物の位置や経営陣のいる方位の判断、また、増築などの際には、敷地の中心からの方位が重要です。
建物の中心がわかれば、次に磁北を調べます。家相は地図上の真北ではなく、磁石の示す磁北で判断します。平面図や配置図などに北が表示されていても、その北が真北なのか磁北なのか、必ず確認して下さい。日本の場合、磁北は4度から10度、平均で約7 度西方位に傾いています。詳しくは、バックナンバー【実践できる家相建築の知恵―12】を確認して下さい。家相上、建物の中心とは、建物の凹凸をすべ て含めた重心を指します。ふつう、玄関ポーチやバルコニーなどは建物の一部とは考えませんが、地袋のついている出窓は建物の一部と判断します。
そして、 家相は一階の中心から判断をします。今までの家相では、二階の家相は二階の中心から判断していました、家相建築では考え方が違います。二階の家相 も、一階の中心から判断しています。一階だけでなく、二階の中心も使うケースは、二階にリピングなどがあるときなど。生活の主体が二階であれは、二階の中心からの判断も必要になります。しかし、それでも大地に根を下ろしている一階の中心から判断した家相が重要になります。
家相建築設計事務 佐藤秀海