家相に対する 一 般的なイメージは、「迷信」だと か、「古い」とか思われているようですが、そんなことはありません。家相は時代に合わせて「進化」しているものなのです。
家相とは、人間のライフスタイルや技術の進歩に合わせて、時代とともに形を変えています。そうでなければ、実際の生活に役立ちません。現代の生活に、昔の家相だけを取り入れようとしても、当然無理があります。家相の知恵を現代にアレンジしながら、大切なポイントを受け継いでいくことが大切です。
たとえば、家相上、不浄物とされるトイレの扱いも、汲み取り式のトイレの時代では、家の中心から見て北東の表鬼門、南西の裏鬼門をはじめ、北方位、四方位、南方位もすべて凶相とされていました。しかし、時代が変わって、浄化槽や本下水が整備されると、北方位や西方位、南方位にトイレを配置しても、無難とすることができます。ただし、北東と南西の鬼門方位は凶相のままです。現在は、燃焼式のトイレも開発が進んでいるのでいずれは下水道も必要なくなる時代がくることも考えられます。そのときには、家相の考え方も大きく変わることでしょう。
キッチンも同じです。以前は台所で魚を下ろし、泥つき野菜を調理することは当たり前でしたが、今では、すっかり処理をされた「パ ック」をスーパーで買ってくるだけです。以前の家相では、キッチンの流し台も不浄物として注意して扱っていましたが、最近では、家相上、流し台の方位が悪くて、体調が悪くなったという事例は少ないです。
これからの研究課題として考えているのは、電化製品の取り扱い方です。気がつけば、家の中には、電化製品があふれています。特にキッチンは、電子レンジやオーブントースター、電気ポットや冷蔵庫などなど。現状では、これらの電化製品は、ガスレンジのような火を扱う不浄物と同じに考えなくてもよくなりました。
時代が変われば、家相の考え方も変化します。たとえば、携帯電話やヘッドホン、パソコンやテレビに囲まれて生活していれば、電磁波に対する抵抗力が落ち、家相上、危険な鬼門方位に配置された電子レンジや冷蔵庫の影響を受けるかもしれません。 危険な方位に電化製品を置くことで、体調を損なうようなことも、十分考えられることでしょう。現在は、火を使うガスレンジの方位が悪いときは、電気式のIHヒーターに変更することが多いです。ガスよりも炎の出ない電磁調理器のほうが、家相上では無難と判断されているからです。
家相は、いつの時代でも大切ですが、時代とともに考え方は変わって当然です。いつまでも古いものにとらわれていないで、新しい視点で活用することが必要です。住宅設備の進歩やライフスタイルの変化にも、十分に気を配る必要があります。
家相建築設計事務所 佐藤秀海