社団法人家相建築設計推進協会

【実践できる家相建築の知恵―15】
家相と風水の考え方はどこが違うのか?

【実践できる家相建築の知恵―15】家相と風水の考え方はどこが違うのか?

よくある質問ですが、「家相と風水はどこが違うのですか?」と聞かれることがあります。「家相も風水も同じですよね」といわれることもあるので、違いについて説明したいと思います。 現在、使われている風水は、手軽な感じで扱いやすい。「軽さ」が受けて、本などもたくさん出版されています。本来の風水は、風水学として発展した学問なので、都市開発の基準やインフラ (社会基盤) の整備にまで及ぶ、スケ]ルの大きい都市づくりの学問ですが、現在ある風水とは、まったく別のものと考えたほうがよいでしょう。その点、家相には風水のような「軽さ」はありません。だめなものはだめで、家相上の凶相は、簡単には解消することができません。この点が、家相と風水の違うところです。風水は、自分たちの希望を数多く取り入れ ることが可能です。 財産運に恵まれたければ、黄色いグッズを置き、恋愛運に恵まれたければ、それがかなう色やグッズを使えばよい。試験に合格したいとか、ダイエットしたいとか、どんな望みでも、風水を活用すれば、なんでも可能なように思えてきます。以前の家相でも、財産運や結婚運を向上させる考えがありました。 しかし、風水と比べれば重さが違います。建物の構えや玄関の方位、蔵を建てたり、樹木を植えたり、相当の手間がかかります。建築した後で、簡単に変更できることではありません。すべ て、建築前に考えて、周到な準備が必要になります。また、私のすすめる家相建築では、健康にポイントを絞っています。それだけ、以前の家相よりも制約が少なくなっていますが、それでも、風水と比べればまったく違います。家相建築と風水を比べてみても、「重さ」と「軽さ」はまったく違います。それでも、現代家相を活用することで、プランニ ングはスムーズにできます。家相というと、「あれもだめ、これもだめ」といって、プランニングが難しいように思われがちですが、そんなことはありません。家相には、人間の欲を戒めてくれる要素があります。プランニングの際に、便利さだけを追求したら、ど んな間取りになるでしょうか。 収納が欲しいからといって、納戸や収納スペースを十分に用意しても、きりがありません。しまう場所が多ければ、それだけ購入するものが増えることにもなってしまいます。自分の敷地に建てられる建物の大きさは、人間だけで決めるのではなく、自然との約束事である家相が決めてくれるものでもあります。 現在の風水は、「あれも欲しい」「これもしたい」という人間の願いを、手軽にかなえようとする発想からできたものです。家相は、人間の欲を戒め、いらないものを整理して、本当に大切なものをわからせてくれるものです。その基本となるのが健康です。風水と家相は、似ているようで、その考え方の基本が全く異なっています。

家相建築設計事務 佐藤秀海

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